2023-01-22-Sun
年が開けると本格的に柑橘シーズン!…には、一般的にはまだ少し早くて、2〜3月にかけて収穫が増えて店頭に並ぶ種類も豊富になる傾向。
ただし、マーマレードは完熟した柑橘よりもやや未熟のほうが作りやすくて、つまり本格的にマーマレードシーズン!
ということで今回のラインナップは、
ジャムびよりのマーマレード、これまでは柑橘以外の材料を混ぜだミックスマーマレードが多かったのだけど、やはりここは純柑橘マーマレードを。あ、夏にバレンシアオレンジをやったので、それ以来ですね。
・ダイダイ&ゆずマーマレード
…いや、他にもたくさんマーマレードを作りたかったのだけど、手間がかかりすぎて無理でした。また次の機会に。
・ダイダイ&ゆずマーマレード
ダイダイというのはつまり橙色の「橙」で、果皮の色が濃く鮮やかな柑橘の一種。店頭でほとんど見かけないのは生食にまったく向かないから。皮が厚く果肉が少ない時点で食べる気にならないし、その果汁も酸味が非常に強い。しかし加工用として、その酸味を活かしてポン酢の材料として使われたりする。
マーマレードの材料としても案外人気なのだけど、「ダイダイマーマレード」という商品は世間で一般的とはいえず、生産地の手作りマーマレードとして売られていることが多いという印象。ダイダイ、上記のように酸味が強いうえに風味に少しクセがあり、果皮の苦味も強いので、マーマレードも「万人ウケ」するタイプではない。
それでもダイダイでマーマレードを作るのは「店主が好きだから」なんですが、やや込み入った事情がある。
まず、ダイダイという品種はサワーオレンジの系統らしいんですね。「スイートオレンジ」に対しての「サワーオレンジ」、つまりバレンシアオレンジやネーブルオレンジのような生食やジュースが美味いスイートオレンジに対して、酸っぱいのがサワーオレンジだと。ただしそれは単に「甘い」「酸っぱい」だけで分けているのではなくて、品種の系統として「サワーオレンジ類」という、遺伝的に一定の繋がりを持ったグループがあって、そこにダイダイが含まれる。で、そのサワーオレンジ類の代表格が「セビルオレンジ」というもので、これすなわち英国の伝統的なマーマレードの材料なのである。英国伝統マーマレードというのはこのセビルオレンジ無しにはどうしようもなく、そして日本国内でセビルオレンジを手に入れるのは非常に難しい。日本の柑橘を使ったマーマレードはもちろん美味いのだけど、英国マーマレードの「バターリッチなスコーンに合う」、その程度の異常さを再現することは不可能に近い。
そこで、同じサワーオレンジに分類されるダイダイである。おそらくはアジアあたりを起源とするサワーオレンジの共通の祖先から、それぞれ東西に別れて広がった系統なので、もちろん同じ風味ではない。とはいえダイダイマーマレード、作ってみると英国にかなり雰囲気が近というか、とりあえずスコーンに合うのでこの方針は成功と言って良い。
また、ダイダイは単独でマーマレードにすると風味のクセがそこそこ目立ってしまうが、色々な柑橘とミックスすることで、相手柑橘の風味を引き立てつつ奥行きを与えてくれる名脇役となり得る。そしてペクチンも豊富なので、なんだかんだマーマレードに向いている。
そして今回のダイダイ&ゆずマーマレード。
どちらかというとダイダイが主役だが、そこにゆずを加えることで、風味に広がりとまとまりを持たせている。ちょっと酸味先行ではあるものの、香りがとてもよく、かつ苦味のきいた良いマーマレードに仕上がっている。それから、ダイダイは皮が厚くて固いものの、しっかり茹でることでモチモチとした良い食感になるので、それをじゅうぶん味わえるようにやや厚めにカットしてる。ジュレの透明感もあって綺麗。
2022-12-30-Fri
年内最後の製造日。
本日のラインナップはこちら。
・レモン&キウイマーマレード
・キウイミント&テキーラ
・いちご
・いちご&ホワイトラム
今回から、お砂糖は100%北海道産グラニュー糖を使ってます!
いままでは「国内製造」ではあるものの輸入原料を使ってるため「国産」とは言えない(そういうルールなので)製品、それはつまり「グラニュー糖として一般に出回ってるもの」を使っていたのだけど、すべて一新しました。まあ、グラニュー糖というのは100%ショ糖なので、原料とか関係なく味は変わらない。もともと使っているものも国内製造品ではあるので「安全性」についても特に変わらないと思う。
じゃあなんでわざわざ変えるのか(当然値段は高いのに)というと、「国内農業の持続可能性への投資」と、「輸送による環境負荷の低減」です。いやこれはマジで。もちろん微々たるも微々たるものなのだけど、ここで大声で言っとくくらいはできる。
「ジャムびよりは、国内農業の持続可能性推進と、環境負荷の低減に取り組んでいます!」(という価値観を持っていることと、そういう価値観を広めたいという意図を持ってやってますという宣言)
・レモン&キウイマーマレード
当店名物と言っても過言ではない、みんな大好きレモン&キウイ。意外というわけでもないけど案外見かけない組み合わせ。酸味強めで香りの良くて、わりと何にでも合わせて美味しい。
夏にも販売したのだけど、今回はレモンもキウイも国産を使用。レモンは広島、キウイは長野の、どちらも有機無農薬栽培。国産はレモンもキウイも冬が旬。(夏のはニュージーランド産なので、ニュージーランドの冬。)
今回のキウイ、状態がとても良い。甘みも香りも良くて、種も多すぎず、緑は濃い。
そしてなにより、追熟がうまくいった。お取り寄せして届いた箱にはりんごが同梱されていて、「りんごと一緒にビニール袋に入れて涼しい場所で2週間追熟してね」との旨の書かれた説明書きがあり、まったくその通りにしたのだけど、バッチリな追熟度合でした。30個もあれば何個かダメになってしまうものがある、という認識でいたのでそんなに期待してなかったのに、ちょっと感動した。おそらく、収穫したてのものを箱詰めして送っているので、状態が均一だしタイミングも予測可能なんだろうと想像する。スーパーのキウイ買ってきて追熟しても、こうは行かない。
レモン&キウイはたぶんここ5年くらい毎年作っていて、少しずつレシピを改良しているのだけど、さすがにそろそろ安定してきた感がある。それでもやはり材料によって少しずつ味わいが違うのが難しくも面白い。そして毎回美味しい。
・キウイミント&テキーラ
アルコール入りのFestinoシリーズ新作!
キウイとテキーラは鉄板なのでだいぶ前から構想はしていたレシピ。先述のとおり良いキウイが手に入ったので顕現しました。
フレッシュミントをけっこう入れて、そのまま葉っぱも一緒に瓶詰めした。ミントの葉っぱは煮ると黒くクシャクシャっとなってしまってそんなにかわいくないのが少し残念だけど、香りはしっかり感じられる。
テキーラは好き嫌いあるかもしれないけど、キウイと合わせるとゴキゲンとしか言いようのない雰囲気になるので、ぜひ一度味わっていただきたい。キウイ、ミント、テキーラと、常夏なイメージを抱きそうになるけど、繰り返しますがキウイの旬は冬。
・いちご
ストレートに、いちごジャム。
しっかり甘い、ただのいちごジャム。高糖度いちごジャムこそ至高。
今回使ったのは静岡県産紅ほっぺ。紅ほっぺは、いちごの中でもかなりジャム向き品種。酸味が強めで、赤色が濃い。
そして固め、すなわちペクチンが多いため、新鮮な紅ほっぺをある程度煮詰めるとけっこう固いいちごジャムができあがる。というか、試作では煮詰めすぎてカチカチになってしまった。まさか、いちごだけでそこまで固くなるとは…本番はそこそこの固さで止めたので、スプーンですくったら瓶ごとついてくるみたいなことにはならないはず。
もともと酸味があるけど、少し風味に広がりを出す目的でライム果汁を加えた。そういう意味では「ただのいちごジャム」ではないか…。とはいえ、言われればわかるか、言われてもわからない程度の香り。いちごジャムを作るのにレモン果汁を足すレシピが多いけど、個人的にはレモンは少し香りが鋭利すぎるので、ライムが気に入ってる。
手作りいちごジャムというと、いちごの実がゴロゴロ入っているものを想像しがちだが、当店のいちごジャムは基本的にいちごを潰す。店主の趣味です。ただし今回は、一部のいちごを半割のまま残したので、そこそこの果肉感も楽しめる。
・いちご&ホワイトラム
こちらもFestinoシリーズ新作!
いちごに合うお酒ってなにかなーと、いろいろ手元のお酒と混ぜて酔っ払いながら味見して出した結論が、ホワイトラム。
で、いちごとラムだけだとちょっと甘ったるいので、なにかアクセントを…ラムならミントを入れてモヒートっぽく?とも思ったが(そういうカクテルレシピもあった)、白桃&ブランデーで使ったピンクペッパーが残ってたので足したら大変好みだったので即決。ちょっと芸がないかなとは思いつつ。でも白桃ブランデーのときは「かわいいから」という理由で丸のままだったのに対して、赤いいちごジャムの中ではどうせ目立たないので、今回は砕いてから投入、という微妙な差はつけてみた。ホールで入れるよりも香りが全体に馴染む感じにはなってる。
使ったいちごは茨城県産とちおとめ。とちおとめも悪くない。なにより手に入れやすい。ただ、品種に何を使おうと、ジャムにするなら新鮮なものを選びたい。
「新鮮で美味しい材料を使った方が美味しいジャムができる」という、一見あたりまえ、でもジャム煮においては誤解されがちな事実、何度でも申し上げておきたい。
2022-11-27-Sun
やや久しぶりの製造日。
前回は11月1日のイベント前だったので、1ヶ月くらい間が空いた。さすがに在庫が減ってきたのでゴリゴリ作るよ〜。
今回のラインナップはこちら。
・紅玉りんご
・ゆず&ライムマーマレード
ゆずが始まって、マーマレードシーズン本格してきましたね〜。
最後にお知らせあります!
・紅玉りんご
長野県産の紅玉を使った、ピンク色のりんごジャム。
ただのりんごジャムでもいいのだけど、ホールクローブとスティックシナモンを一緒に煮て、わりとしっかり香りをつけている。先日も作ったのだけど、今回はさらにシナモン感を強めに出したくて、仕上げにシナモンパウダーも入れた。スパイスの加減はなかなか難しいけど、作り手の好みを強く反映しやすいところでもあり、面白い。調子に乗らないようには気をつけます。
パイはもちろん、トーストにバターと一緒に載せるだけでも即席アップルパイ気分が楽しめる。アイスに添えてもいいし、香りが強いのでヨーグルトに混ぜても存在感が薄まらないのでおすすめ。ヨーグルトってジャムの使い先としてよく候補に上がるけど、混ぜるとジャムが薄まってしまうことになるので、案外ジャムによって向き不向きがある。香りの強いものがおすすめなので、スパイスを効かせたこの紅玉りんごジャムは最適。
りんごはたくさん手に入ってたくさん作ってしまうので、たくさん余ってしまわないようにたくさん買ってね〜。
・ゆず&ライムマーマレード
ゆずは、マーマレードがいちばん作りやすい柑橘。
皮が柔らかくて茹で時間が短く済むのに、ペクチンが多いからきれいに固まる。煮てもしっかりゆずの香りだから、美味しいのはもちろんだが、作ってて満足感が高い。そして手に入りやすい。全国どこにでもあるし、安い(高いものもあるにはあるが)。
なので、みなさんぜひ、ゆずマーマレードを作ってみてください!かんたんレシピ置いときますね↓
① ゆずを洗って(タワシおすすめ)、
② 4分の1に切って(半分でも別に良い)、
③ かぶるくらいの水で30分ほど茹でて(茹で汁はヒタヒタを維持)、
④ 柔らかくなったらザルにあけて(茹で汁は捨てない!)、
⑤ ゆずは種を取って、ワタごと3〜5mmくらいの幅に刻んで(キッチンバサミでも可!)、
⑥ 刻んだ皮と茹で汁を計量して鍋に戻して火にかけて、
⑦ グラニュー糖を⑥の70%量って(上白糖でも三温糖でも、味わいや色合いは変わるけど、作れる)、
⑧ 鍋が沸いたら砂糖を2〜3回に分けて投入(都度よく混ぜて煮立たせる)、
⑨ かき混ぜながら15分くらいグツグツ(コトコトではなく)煮詰めてできあがり。
煮詰める時間とかは量などによって変わるけど、はじめの生ゆずで500gくらいならざっくりこんな感じで美味しくできる、はず。
もうちょっと仕上がりを見極めたい、という方は、「冷蔵庫で冷やしておいた皿に少量取って30秒くらいまた冷蔵庫に入れて、冷えたマーマレードをスプーンで押すとシワが出る」というテスト(リンクルテスト)が特別な道具もいらず簡単でわかりやすい。
で、上記のように簡単で誰が作っても美味しいので、ゆずマーマレードというのはお店の商品としてはちょっと難しさがある。ゆず自体にこだわりを出す、たとえばブランドものを使ったり、あるいはゆずの生産者さんが作るマーマレード、といのはあり得る。あとは、レシピに独自のアレンジを加えることで付加価値を高めるか。まあ、自分のブランド力があれば「ただのゆずマーマレード」でもいいのだろうけど。
ジャムびよりではとりあえず、ライムとミックスしたマーマレードを作ることに。これは決して思いつきではなく、以前に作って美味しかったので。ゆずとライム、なんか和風なものとなんかオシャレなものという一般的には馴染みがない組み合わせだが、意外なことに風味のバランスが大変良い。ゆずだけのマーマレードやライムだけのマーマレードよりも用途の幅が広がる感がある。
柑橘をミックスするマーマレードの難しさは、柑橘種によって皮の固さが全然違うので、茹で時間もそれぞれ変える必要があるところ。柔らかいゆずと固いライムを一緒に茹でてしまうと、ライムが固いまま残るか、ゆずを茹ですぎてグズグズになってしまう、という事故が起こる。
まあ、ゆずもライムもペクチン豊富なので、上記の問題さえクリアすれば、香りも良く美味しく仕上がることは確定している。むしろ煮詰めすぎてカチカチにならないように気をつけなければならない。鍋の中の様子を見ながら、糖度を測りつつ、リンクルテストも合わせて、泡の音に耳をすませて……火を……はい!いま止めた!
これは正直言って名前から入ってます。もともと、ライム&ラフランスマーマレードを毎年作ってて、それは「名前がオシャレ」という理由が半分。で、もう半分は味もオシャレで美味しいからだったのだけど、もうひと押しインパクトが欲しいと感じてた。
洋梨を使ったお菓子とかではよく紅茶を使ったりするので、アールグレイの茶葉を入れるのもありかなー、でも色がついちゃうよなーとか考えていたところにベルガモットが手に入りまして、これは使わない手はないぞと。なお、アールグレイの香りのもとが「ベルガモットという柑橘」だなんて、わたしはわりと最近知りました。
ということで、生ベルガモットなんて触るのも見るのも初めてで、どう扱っていいものか全く見当がつかない。ただ、以前にベルガモットだけで作ったマーマレードを食べたことがあって、そのときの記憶を頼りに方針を立てる。つまり、「ベルガモット、良い香りだけど主張がめちゃくちゃ強いので、使うとしても少量をミックスすべし」である。
ライムとラフランスに対して少ない量のベルガモットを加えて試作してみたところ、なるほどほのかにベルガモットの香りが…
…〜っっっ!!
べ、ベルガモットの皮を噛んだ瞬間の芳香!!強烈!!
となったので、なるほど量をもう少し減らした上で、皮を小さめ薄めに刻んで、全体に散るようにして…
と、なかなか良いバランスに仕上がったと思う。ライムとラフランスの爽やかさと甘さのデュエットの中に、ふと立ち上るベルガモットの香りのアクセント。リズム感のある楽しいマーマレード!
さて、お知らせです!
なんと、ジャムびよりが買えるお店が増えました!この12月から、埼玉県和光市のアルコイリスカフェさんに置いていただきます!
さらに!メニューの手作りスコーンに添えて提供も!!
アルコイリスカフェさんは、普段はランチ営業(お酒もある)しつつ、レンタルスペースとしていろんなイベントも行われる、地元民の「基地」みたいなところ。というかじつは、店主の地元です!これは嬉しい!ぜひ足をお運びください!東武東上線か東京メトロ有楽町線か東京メトロ副都心線に乗って「和光市駅から徒歩5分」です!
もちろん、埼玉県小川町の薪をくべるさんでもバリバリ販売中ですよ〜!
新展開ジャムびよりをよろしくお願いします!
たくさん作らないと…
2022-11-17-Wed
「レモネーディア」という珍しい柑橘をいただいたのでマーマレードに。
初めて&少量なので試作だけ。
こちら、「かんみ」という柑橘サブスク事業もされている清原優太さんが、レモネーディアをお裾分けしていただけるとのツイート↓を見て飛びついた次第です。
昭和40年代に消えた希少種『レモネーディア』を復興されている方がいたので購入してみました!🍋
— 清原優太🍊 (@kanpeii) 2022年10月25日
○リモネンがレモンの数倍入ってる!らしいのですが、味はまろやか(璃之香に近い感じ)お菓子やマーマレード造りにいいかも?
○緑の状態でも生で食べられる→黄色の時にはフルーツとして使えそう pic.twitter.com/g3Q0m2kvuj
レモネーディアという品種は「昭和40年代に開発されたが当時のニーズに合わず消えていった希少種」だそう。今回いただいたのは愛知県の河合果樹園さんが復興、無農薬で栽培されているもの。
文旦、オレンジ、レモンを合わせた味、という触れ込みで、そんなスリーフルーツマーマレードを地で行くみたいな柑橘があるならぜひ煮てみたいし、清原さんが上記ツイートで写真を上げている解説紙にも「マーマレードは絶品」とある。そう言われては黙っていられない!という思いで勢い連絡をさせてもらったのだけど、同時に「ほんまかいな(=我々マーマレードガチ勢からしてみたらどうなのか?)」という、意地の悪い気持ちもあった。
実際に手にしたレモネーディアは、写真で見ていたレモンやライムっぽい印象とは異なり、けっこう柔らかい。「手で皮が剥ける」とのことで、たしかに触り心地は早生みかんに近い。でも外皮の香りはぜんぜん違って、すごく爽やか。すだちやかぼす、なんならベルガモット的な香酸柑橘方面である。なんだこれ。
こういうよくわからない柑橘でマーマレードを試作するときは、失敗を恐れずにとりあえずなんの工夫もないレシピで。ということで、まずは半割にして果汁を搾る。味のバランスを考える目的で果汁を一口舐めてみると…甘い!いや、強い甘みではないけど、上記の香酸柑橘をイメージして強い酸味を覚悟していた舌にはなかなか衝撃的な甘さ。なんだこれ…。
皮が薄くて柔らかく、ナイフでワタをきれいに取るのは難しそうなので、ワタ付きのまま茹でて後で刮ぎとることにする。
皮を茹でてると、ペクチンが茹で汁に溶け出しているかどうかというのは、ある程度見た目でわかる。しかしこのレモネーディア、ぜんぜんペクチン感なし。バレンシアオレンジのときみたい。皮が薄くて柔らかいので予想してはいたが、さてどうしたものか。
外皮を1時間ほど茹でたところで、じゅうぶん柔らかくなったので引き上げる。茹で上がった皮の香り、あーこれ知ってる、ダイダイの皮を茹でたときと似てる。いやでも、ダイダイより少し爽やか寄りで、清涼系ハーブ(レモングラス?タイム?スペアミント?)の香りを足したような感もある。なるほど、こういう方向の風味になっていくんだな。だとすればレモンとは相性良さそうなので、ペクチンが不足するならレモン足すのはありかも。
スプーンで外皮からワタを刮ぎ取って、外皮を細く刻む。皮が薄くて柔らかいので、それほど薄く刻む必要はない。
で、ふと思ったのだけど、この、刮ぎ取ったワタの方もめっちゃ柔らかいな?筋っぽさもなく、ゆずを茹でたときみたいな。つまり、ワタも全部食べられるのでは?ワタも入れればそこそこペクチンの固さが出てくるのでは?一口食べてみたが苦味も少ないしぜんぜんいけるな…
ということで、せっかく取り分けたのだけど外皮といっしょにワタも入れることにする。実際にはワタごとザクザク刻むラクチンレシピでも良いかもしれない。
外皮とワタ、果汁と茹で汁を合わせて、グラニュー糖を入れて煮詰めて仕上げ。ワタのおかげでトロみが良い感じ。
瓶詰めの際、最初と最後でけっこう煮詰まり具合が変わるので、普段は回し注ぎをするようにしてる。が、試作のときは一瓶ずつ順番に充填してしまい、固まり具合にあえて差をつけ、煮詰め具合にフィードバックする。
今回、一晩おいて冷ました時点で最後の瓶だけバッチリ固まった感じ。つまりもう少し煮詰めて仕上げにしても良いか、と思っていたけど、さらに丸一日おいたら最初の瓶もきれいに固まった。じゃあまあ、これくらいで良さそうか。
さて、味はどうか。「絶品」なマーマレードになってるのか。
口に含んでまず感じるのは、軽い酸味と明るい芳香。まろやかな甘味と苦味。そしてミントを思わせる爽やかな余韻。とにかく香りがよく爽やかでまろやか。バランスの良さも含めて、レモネーディアの特徴が良く出ている。単独でこれほどまでに特徴とバランスを兼ね備える柑橘品種はなかなか思いあたらない。ふつうは特徴が出ると何かしらそちらへ偏ってしまうものなので(だからスリーフルーツマーマレードが美味いんである)。さらに、作る側としては「ワタも全部使えるよ!」というのはマーマレードの大きなメリットになり得るので、その加点も大きい。
なるほど「絶品」は伊達ではないぞ。
レモネーディアマーマレード、商品として販売するとなると問題は知名度だろうか。初見で柑橘の品種として認知いただけるだろうか。レモネード味?とか思われないかな。ていうか「レモネード」という柑橘品種もあったりしてたいへん紛らわしい。
あるいは「なんだろう?」と気にして買ってくれる人もあるかもしれないが、それには「よくわかんないけど、ここのジャムなら間違いなく美味しい」という信頼が必要だよね…レモネーディア生産者さんに恥ずかしくないようがんばる…
2022-11-01-Tue
製造、試作のジャム煮記録じゃなくてすみません。
ジャムびより初の対面販売イベント出店「アンサンブル・フェスティーノのどこでもマドリガルin川崎市民プラザ」無事に終了!ということで、こちらで簡単にまとめておきます。
これまでの経緯については、この辺↓の記事をご覧ください。
たくさん持っていって、全部持って帰ってくるのは虚しいな…と、始まる前は大変不安に思っていたけど、蓋を開ければ大盛況!
事前の告知で「売り切れたらネット販売分が無くなってしまうので〜」などと言っていたのはネタのつもりだったのだけど、モノによってはまあまあ心配になる勢いで減った。そもそもの数が少ないのはたいへん申し訳ないです。
ネット販売準備中ですので、もう少しお待ちください!
なお完全に手元から売り切れたのが、ゴールドキウイ&パッションフルーツ。けっこうたくさん作ってしまって「大丈夫か?」と思ってたのに、ありがたいことです!
このジャム、見た目と名前のわりに味は奇をてらった感じではなく、トロピカルでありながら酸味甘味のバランスが良く香りも良くそれぞれが主張しつつ全体がまとまっているから万人受けするし何にでも合わせられる、つまりとても美味しい。まあ美味しいのはどれも美味しいのだけど、「パッションフルーツが好き!」という方がけっこういたのと、今回のイベントは「試食」ができたので、それで気に入っていただいた方も多かった。来年もたくさん作りますね。
そう、やっぱり試食、だいじ。手作りジャムなんて、舐めてもらえばこっちのもんみたいなところがある。というか、同時に販売していたマフィン(当店ジャムを中に使ったマフィン)は、お客さんがパッと見で手にとって買われていくのである。ジャムというモノ自体の購買意欲への訴求力がいまいちであることを、まざまざと見せつけていただいた。小麦粉の誘惑の強さに敵わない。ジャムはもう、試食、味見。ひとりが試食していて「美味しい」と言ってくれれば、周りも興味を持ってくれやすいし。もちろん、見た目の美しさも照明とか工夫してアピールしたいところではあるので、なんか照明付きの陳列台みたいのを工作しようかな。それから、一般論としてジャムはまだまだ侮られているので、啓蒙は必要。それは当ブログで!
なお、ジャムマフィンはアンサンブル・フェスティーノの美味しいもの担当の方がやっている「きまぐれおやつ サルティンボッカ」さん(https://www.instagram.com/kimagureoyatsu_saltimbocca/)に作っていただきました。まあ、完全に美味しそうだったので仕方ない。
試食という点では、特に今回初お目見えと相なったFestinoシリーズは、名前と見た目だけではなかなか味を想像できない、あるいは料理やお菓子作りが好きな人なら「美味しそう」くらいの感覚はあるかもしれないが、口に入れたときの風味の広がりまではわかんないと思う。
いや、わかんないんだな、と今回試食してもらって確信した。Festinoを口にされた皆様のリアクションが想定以上に面白かったので。驚きをもって「美味しい」と言ってくださる方が多数いて、アルコールの入ったジャム、という字面だけでは伝わらない部分がとても大きいことが知れた。自分はもはや食べ慣れてしまっているので…。(それでも、これ美味いな、と自画自賛することはある)
よっしゃこうなったらFestinoを量産や!といきたいところだけど、レシピを考えてまとめるのがそれなりに難しいので、季節ごとに1〜2種類、定番の4種類と思い付きの4種類とか、作って行きたい…作っていけたらいいですね…。とりあえず冬のレシピは今妄想してるところです!
お会計やらは、初のイベントに慣れずに、というか準備が不足して、いろいろご迷惑をおかけしたところがあるかも。これは反省点ですすみません。
「お客さんの数÷営業時間」で考えれば、暇で暇で仕方ないという数字になってしまうのだけど、コンサートの物販なので演奏前後が当然混雑するわけで、そこにきちんと照準を合わせて準備しないといけない。通常のマルシェなんかでも、開店直後とか他のイベントが終わったあとなど混雑の波はあるだろうが、コンサート物販ほどの明瞭さではないだろう。というか明瞭なので準備のしようもあるだろうという話だ。試食の出し方なんかも効率よくできるよう考えたい。
いや、コンサート物販をそんなに突き詰めても?と思いつつ、このスタイル、できることなら今後もやりたいなと。音楽が聴けて役得だし!フェスティーノさん以外にお付き合いいただける団体があるかはわからないけど。(今回のアンサンブル・フェスティーノも楽しかった!相変わらずノリと音楽クオリティのギャップが素敵。フェスティーノには珍しく残響のある会場だったのでアンサンブルの美しさが際立ってた。)
今回、ジャムだけを買いに、という方はさすがにいなかった。けど、ありがたいことに「コンサートの宣伝でジャムのことを知り、絶対買うつもりで来た」と仰っていただいたりして、この「音楽もジャムも楽しみたい人々」の輪を広げたいなと。なんか良い話をしたい訳ではなくて、単に「音楽&ジャム」というジャンルは未踏なのでは?と面白がってるだけですが。もしかしたらどこかでやってる人はいるかもしれないけど、少なくとも日本国内の合唱・声楽・古楽界隈(私の関わりがあるところ)では聞いたことがない。10万人規模の市場として期待してもいます!
音楽とジャム、何か共通点があるの?と聞かれたら「ほとんど無い」というのが実感としての私の回答。音楽とジャムの関係など今まで考えたことがある人は少ないと思うけど。まあ例えば、ジャムは保存食だけど、音楽は保存できない。音楽の時間は流れるが、ジャムは時間を止めるのである。音楽には録音があると言われるかもしれないけど、そしたらジャムは使うと減って無くなってしまうじゃないか。レシピとしての譜面を作る行為は似ているかもしれないけど、音楽は譜面を実行しても実体は残らないのに対して、ジャムは煮れば実物のジャムが出来上がる。音楽に触れる時と、ジャムを煮たり味わう時は、脳あるいは身体の違うところを使っている感覚がある。
共通点が無いからこそ、音楽もジャムも楽しめる場というのは面白いのかもしれない。ジャムびよりは今後も音楽とジャムの関係に拘り続け、ボロ儲けして財を成したあかつきには「ジャムびよりホール」を建造する計画なのでよろしくお願いします。
ところで、こちらのブログではお知らせしていなかったのですが、ジャムびよりのロゴが新しくなっています!
いろんなシーンでジャムを食べてもらいたい、このジャムを開けた時がジャムびより、という想いなどなど込めております。そしてかわいくて親しみやすいように!中の人のイメージの話は止めろください。
そしてさらに、イベントで初お披露目となった、Festinoシリーズの特別なロゴ!
夜をイメージしたカラーリングに、ハレの日用としてお祭りそしてお酒のモチーフをあしらってます。こちらもかわいいテイストは変わらず、でもちょっと大人の雰囲気で。
デザインはMusicoraleさん!!
それこそ音楽団体のロゴやウェブサイトなどのデザインを多く手掛けられており、過去のお仕事を見て「めっちゃ好み!」と思い依頼。私のまとまらない無理なお願いも聞いていただきつつ、素敵なロゴに仕上げてもらって感無量です。プロや。
なんと言っても真ん中の「ジ」が良い…こっちの話で申し訳ないけど、わかってくれてる感がすごい…!あの私の話(本当に申し訳ない)でこれ出てくるのすごくない?
ということで、新装開店ジャムびよりを今後ともよろしくお願い致します!
2022-10-21-Fri
イベント出店に向けてたくさん作ってます。
今日の製造ラインナップは、
・ルバーブ
・グリーンキウイ&グリーンルバーブ
・紅玉りんご
ジャムびより初のイベント出店は、11月1日「アンサンブル・フェスティーノのどこでもマドリガルin川崎市民プラザ」での物販になります!
コンサートチケット購入がまだの方はこちら↓
コンサートチケットが無くてもジャムは買えるようにする予定ですが、こんなに多彩で陽気で高品質な声楽&室内楽アンサンブルを聴く機会はそうそうないので、聴いていかれることを強くオススメします。聴いたついでにジャムもお願いします!
…は?イベント出店?アンサンブルフェ…何?なんでジャム屋が突然コンサートの宣伝?
ちょっと何言ってるかわからないという方はこちらを参照↓
話は今日の製造記録に戻りまして、
・ルバーブ
長野県富士見のサンフレンド農園さんの真っ赤なルバーブをまたまたお取り寄せ。ルバーブ、初夏にも秋にも収穫があって新鮮なものを使えるのは嬉しい。
レシピは夏に作ったものと同じだけど、どうやらルバーブジャムは各所で大人気ということがわかったので、再製造・再販です。甘酸っぱい味と濃厚な香りは、味見をしてもらうと気に入っていただけることが多いみたい。さらに赤い色がきれいで、ルバーブがちょっと珍しいというのもポイントかなあ。
ルバーブはジャムやお菓子の界隈では知ってる人が多いけど、一般の知名度はまだまだ低いという材料のひとつ。ブラムリーでも似たような事を書いたけど、ブラムリーの場合は「青りんごです」でとりあえず説明できるのに対して、ルバーブはなかなか簡単な説明が難しい。
で、聞かれるとついつい「ルバーブは見た目からフキとかセリとかイモとか思われがちですがタデ科ダイオウ属の草本植物でショクヨウダイオウという和名のとおり茎を食用にします酸味が非常に強いうえに繊維が固いので生食には向きませんが加熱することでトロトロに煮溶けて砂糖を加えれば濃厚で甘酸っぱい風味が魅力なお独特のクセがより強い緑色の品種と風味はまろやかで美しい色に仕上がる赤色の品種がありますどちらも刻んで煮るだけで美味しいジャムができるので自作もおすすめただし手に入りにくいのとジャムの材料としてはやや高いのが難点とはいえ冷凍保存もしやすいですし見かけたら買っておくべき主な生産地は長野県でそもそもルバーブが日本に伝わったのが…」などと早口でまくしたててしまうので、気をつけなければならない。
ルバーブの知名度が上がればその辺のスーパーに並んでくれるんじゃないかと期待しているので、ぜひこれを読んで下さっているみなさんの力でルバーブを盛り上げてください。ジャム作るのもすごく簡単でオススメ。買ってきたら切って砂糖入れて煮るだけ。
あ、ただ、はじめにちょっと水分を足すほうが煮やすいので、他の材料と混ぜるのも良いです。今日のレシピでは赤ワインを。
はじめに加えて煮てしまうのでアルコールは残らないし、ルバーブの強い風味に隠れてワインの主張はほぼ感じないけど、深みが出て美味しくなる。
・グリーンキウイ&グリーンルバーブ
これはつまり、上記の「他の材料と混ぜる」パターン。グリーンルバーブに、同じグリーンだからという安直な発想でグリーンキウイを合わせた。
グリーンルバーブ、私はかなり好きなのだけど、赤色のルバーブに比べると独特のクセがあるのと、そもそも見た目がなんだかよくわからないという問題が大きい。赤ルバーブも初見でなんだかわからない点は同じだが、赤色がきれいで美味しそうには見える。一方のグリーンルバーブはというと、一般的な感覚では「ジャムは緑色ではない」ので、なんだかよくわからないところから先へ進めない、んだと思われる。
キウイには、そんな「一般的な感覚」とグリーンルバーブの橋渡しをしていただきたく登場してもらった。というかキウイの方が多くてキウイメインの仕上げとなっている。ただ、ルバーブの酸味と香りそしてトロみが大変良い仕事をしており、ジャムとして良くまとまった出来。
ルバーブ好きにも、ルバーブ初体験の方にもおすすめです。あと緑がきれい!
・紅玉りんご
こちら言うまでもなく紅玉!
と言いたいところですが、ブラムリーほどではないにしても紅玉もりんごの品種としては案外メジャーではないので、「紅玉りんご」と題しておきました。
紅玉のジャムはピンク色にしがち。実が赤いわけではないので普通に作ると普通の黄色いりんごジャムになるが、濃い赤色の皮を煮出すことでピンク色に仕上げるのである。これに、「かわいいから」以上の理由は無い。なおピンク色のジャムはとても褪色しやすいので、かわいいうちに買ってかわいいうちに食べてほしい気持ちが強い。
それから、りんごジャムとしては「ブラムリーアップル」と被ってしまうので、今日の紅玉ではシナモンスティックとホールのクローブを一緒に鍋に入れて煮る。わりとしっかり香りをつけているので、焼きりんごみたいな風味を楽しめる仕上がり。パイ生地焼いたところに乗せるだけでも美味しそう。
以上!
今日はFestinoシリーズは作ってませんが、通常ラインナップも11月1日のイベントに持っていきます。特に今日の分はイベント出店が先行販売になりますので(イベント終わったらネット通販に出します)、気になる方は11月1日に川崎市民プラザへ!
2022-10-07-Fri
10月!秋!
ということで、
・ブラムリーアップル
・ライム&ブラムリー&ラムレーズン
やたらと「ラ」が多い!
・ブラムリーアップル
ブラムリーはイギリス原産の青りんごで、キング・オブ・クッキングアップルとしてイギリスではりんご生産量の相当な割合を占めるらしい。本名はBramley's Seedling(ブラムリーズ・シードリング)。
国内でも生産はされているが、数は少ない。長野など生産地の直売とかいくと見かけたりはするが、近所のスーパーに並ぶことはまず無い。今回は食べチョクで青森県産をお取り寄せ。
クッキングアップル、つまり調理用りんごと言われるだけあって、酸味が強く食感はもさもさ系なので生食に向かないし、たいへん煮崩れやすいのでパイなどに加工しやすい(形を残したい調理にはまったく向いてない)。
というわけでジャム界隈ではわりとメジャーなりんごの品種なので、「ブラムリー」とだけ言って通じることも多い。が、一般の認知度を鑑みると「ブラムリー」だけでは何のことか伝わらない可能性が高いので、この度は「ブラムリーアップル」を標榜することにした。もっと単純に「りんごジャム」あるいは「青りんごジャム」という名称もあり得るけど、ブラムリーの名前を広めたい(広まることで国内の栽培が増えることを期待してる)ので。
ブラムリーといえども、りんごジャムはりんごジャムである。というか、「これぞりんごジャム」というりんごジャムが出来上がる。しかも今回、いろいろ検討した結果として「ブラムリーと砂糖だけ」という超シンプルな構成に落ち着いた。まあ、刻んで砂糖入れて煮るだけかっていうと、もうちょっといろいろ工夫してるんだけどね!
あと、ブラムリーは皮の内側まですこしグリーンがかっているので、出来上がりのジャムもほんのりグリーンに。かわいくて気に入ってます。
・ライム&ブラムリー&ラムレーズン
中の人がアマチュア時にマーマレードアワード日本大会で金賞をいただいたレシピです!これは外せない!
先述のブラムリーと、和歌山県産ライムと、ラムレーズンのマーマレードは、われながらセンスの良い組み合わせ。こちら、レーズンを漬けていたラム酒も加えて、アルコールを残したまま封入したFestinoシリーズです!なおラムレーズンは自家製(買ってきたレーズンをダークラムに浸しただけ)。けっこう入れないと見た目にラムレーズン感が出ないので、けっこう入れてる。
ところで、ライムはマーマレードをはじめ何かと使えるので毎年たくさん注文するのだけど、9月〜10月にきれいな緑のライムが届くと「マーマレードシーズン開幕〜!」って感じでテンション上がる。ついこないだバレンシアオレンジやってたじゃん、と言われそうですが、あれは前シーズンなので…。
緑色の柑橘、ライム以外にもいろいろあるけど、総じて言える難しさとしては「皮が固い」である。マーマレードははじめに皮を茹でて柔らかくするのだけど、緑の柑橘はここで長く茹でてもある程度固さが残ってしまう。それでも食感を良く仕上げるための方策のひとつは、薄く刻む。厚さ1mmで揃える。
私がマーマレード作るとき、たとえば夏みかんやダイダイなどでは薄くて2mm、場合によっては3〜4mm。皮が柔らかい柑橘ではそのくらいの方が見た目も食感も楽しめるし、薄すぎると皮が崩れてしまう。ライムの皮が固いからこそ1mmで刻める。
と、言うのは簡単だが、厚さ1mmというのはほぼ「現実的に可能な範囲でできる限り薄く」という意味である。そして、2mmを1mmにするというのは、手数が倍になるということ…!そんなこと知りたくなかった!手元のライムが減らない!永遠に繰り返される包丁とまな板のぶつかる音!耐えろ腰!そしてたまにふと鼻腔をくすぐるライムの良い香り…。ていうかリピート再生してるアルバム何周した?!
みたいな感じでやってます。
こちらもFestino!
グリーンルバーブは長野県産をお取り寄せ。グリーンと言いつつも根元が赤みがかってるようなものが多い中、農家さんの方で緑の強いものを選抜育成してめっちゃ緑のルバーブを作ってるとのこと。素敵。
で、ライムは、当初は皮も入れてマーマレードに仕立てようと思ってたのだけど、ライム系マーマレードほかにも作るし若干しつこいか…。ということで、ライムは果汁と、皮を煮出したエキスの風味で参加。ライムの皮を入れずとも、そもそもグリーンルバーブとライムは風味の相性が大変良いので。
それに、ルバーブは果汁でもワインでもなんでもいいけど水分があった方が煮やすいので、なんだかんだ良い感じのレシピになった。
で、最後に加えるのはクラフトジン。ルバーブ、ライム、ジンと、スッキリ爽やかスパイシー系の攻め口ですね。ただ、クラフトジンってほんとうに色々でそれぞれぜんぜん違った風味なので、「クラフトジンを入れました」だけではあまり味のイメージが湧かないのは難点。
今回使ったのは「道後ジン」という、その名の通り愛媛県松山市は道後で作ってるもの。愛媛県産ボタニカルを使っていて、特に柑橘の風味が爽やかなのでいろんなフルーツに合う。普通に飲んでも美味しい。ほんとはマーマレード仕立てにして道後ジンを使って次回マーマレードアワード日本大会に出して愛媛県に媚びを売ろうと思ってたというアテは外れましたが。
以上!
ここまで、Festinoが4品出揃いましたね!気が向いたらまだ増えるかもしれません。
Festinoシリーズは11月1日(火)の「アンサンブル・フェスティーノ どこでもマドリガル」での出店が初お目見えとなります!
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