今日はジャムびより

今日という日に添えるジャムを。

2022-09-14-Wed

ベリーAを手に入れました。ぶどうです。

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ぶどうジャム、私の感覚としてはちょっと難しい。ぶどうが美味しいのは認めざるを得ないが、ジャムに向かない要素が多いように思う。

まず、店頭に並んでいるぶどうの大半は、甘い。当たり前である。私も食べるなら甘いぶどうがいい。しかし、ジャムにするには甘すぎるし酸味も弱い。そしてぶどうにとって重要な「香り」が、加熱でけっこう飛んでしまう。要するにぶどうは食べるなら生のほうが良い。

作る上での加工性もなかなかに渋い。上述のとおり甘すぎるので砂糖を減らすのだけど、砂糖を減らした上でジャムとして適正な糖度まで煮詰めると何が起こるか。もともと水分の多いぶどうの実を煮詰めるので、めちゃくちゃ嵩が減る。そう、歩留まりがたいへん悪い。そのうえ、皮や種も処理せねばならないとなると手間も時間もかかる。かといって材料として安価というわけでもなく、有り体に言ってしまえば、下手に作っては採算が合わない。趣味で作る分にはいくらでも作れるんですが。

ということで、これまであまり手を出してこなかったぶどうジャムなのだけど、これらの問題点については、品種を選ぶことである程度解決できるのでは?という思いはずっと持っていた。つまり、まず甘味が強すぎず酸味がしっかりしており、かつ加熱に耐える濃厚な香りがあるものであれば、食味に関しては期待できる。しかし店頭に置いてあるのは「美味しいぶどう」ばかり・・・と諦めかけていたところに、懇意の八百屋さんからベリーA入荷のお知らせを頂いた。ベリーA、ぶどうの品種についていろいろ調べていた中でも「ジャム向きでは?」というもの。いそいそと出かけていって、いくつか頂いてきた次第。

 

それでは早速試作。

皮は固いので剥く必要があるし、種もあるので取る必要がある。前述の通り、たいへんに手間。慣れないのもあるけど、ひと房やるのに1時間近くかかったのでは。

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皮が薄くて種のない品種を選べば圧倒的に楽だよなあとは思う…

砂糖の量、見当がつかないのでとりあえず50%にしてみた。ぶどうの甘みは強すぎないし、酸味がしっかりしているので、そんなもんかなと。そもそも50%というのは私としてはどちらかというと少なめ設定です。

で、結論としては砂糖50%は多すぎた。もちろん、適当なところで煮詰めるのをやめれば甘味としては調整できるが、ぶどうは何しろ水分が多いので、しっかり煮詰めないとサラッサラの仕上がりになる。そしてしっかり煮詰めるにあたり、加える砂糖はもっと少なくて良い。50%スタートでは、サラッサラもサラッサラ。ソースとして使うにしても、もう少しトロミが必要だろというレベルでサラッサラ。30%か、なんなら20%くらいからでいいかも。

味自体はけっこう良さそう。酸味もしっかりある。果肉部分の食感も面白い(今回果肉は半割り)。香りもちゃんと残りつつ、ぶどう特有の渋みが加熱によって和らいで、品の良い味わいである。ぶどうの風味そのままでもいいけれど、多少アレンジしたほうがまとまるような気はする。

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が、とにかく手間がかかりすぎるので、正直レンタルキッチン民にはつらい。そして、ひと房から出来たのが小瓶2つくらい、という衝撃である。これでは、そのままでの商品化はあきらめざるを得ない…でもぶどうジャムをちゃんと美味しく作れることはわかったので、皮も食べられる種無しの品種を使ってなんとか上手いこと作ってみるか。となると、なんだかんだで結局いつも売ってる「美味しい」品種になりそうだけど。